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デール・カーネギーが贈る成功の秘訣

第30回  内向的な人の声を活かす

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 チームの中で内向的な人は、ブレーンストーミングの時にペンを取り合ったりしません。彼らはホワイトボードを埋めるのも、アイデアを出すのも、議論も外向的な人たちに一切任せてしまいます。その結果、組織としては一部の人たちのアイデアを集めるだけになってしまいます。声量豊かで大声であることが、頭が一番良い、洞察力が高いことを意味するわけではないのに、いつも同じ少数の口が立つ人たちが議論を牛耳ってしまっていることがあまりにも多く見られます。しかし、そのうちこれは声高な少数派によって生み出された狭い範囲のアイデアを受け入れるという、危険な選抜プロセスにつながっていきます。吠えたり、噛んだりしない、こうした内向的な人たちの力を完全に解き放すにはどうしたらよいでしょうか?これは、謙虚さ、匿名性、そして低姿勢であることが美徳とされる日本では特に重要です。

 「考えを紙に書く」ことは、電波の奪い合いを抑えられる素晴らしい方法です。証券取引所で職員相手に注文を叫ぶ古いタイプのブローカーのように、街中の喧嘩調でアイデア合戦をしてもらうことを奨励せずに、まったくの静寂から始めましょう。全員にそのトピックについて彼らのアイデアを紙に書いてもらい、時間が許す限りできるだけたくさん、まるで紙ふぶきのように次々と書き出すように勧めてください。全員からアイデアを募る静寂なスペースを作ることで、外向的な人、いわゆる「タイプA」の人たちと、そこにいるシニア・マネージャーたちの力は抑制されます。

 テーマについていくらか考えたところで、特定のメンバーを呼び、彼らのアイデアを読み上げてもらい、これらをホワイトボードに書き出します。そうすることで、全員がアイデア環境に参加できます。これは、内向的な人たちの取り込みを始めるには良い方法です。彼らは他に隠れる場所はありません。何かしら紙に書き出しているはずで、考えがないといって恥ずかしがることもないからです。外向的な人たちも、アイデアをしっかりと根拠を固めて出したり、不足部分を追加したりできます。

 ミーティング前に詳細な議題を用意することも、アイデアを生み出すのに役立ちます。ブレーンストーミング・セッションで発言し、なおかつ素晴らしいことを言うのは、多少難しいこともあります。そのトピックについて深く精通していたり、面倒なビジネスの難問のどん底に身を沈めようとしたりしていないかぎり、容易なことではありません。問題に関する多少の背景知識や情報は、この活動から何を得ようとしているのかを理解できるため、常に役立ちます。事前にこの議題が伝達されていれば、全員が考えをまとめる時間を持てることになります。外向的な人はいずれにしても即興型なので、おそらく多くの時間を必要としないでしょうが、内向的な人にとってはいくらかスペースが与えられると助かるでしょう。

 頭脳作業は午前中に行うようにしましょう。大部分の人々は、午後、特に昼食後よりも午前の方が頭がすっきりしています(また、昼食、それも軽めのものを用意することも良い考えです)。1回でイノベーション活動全体が完了すると仮定してはなりません。複数のアイデア発想セッションに分けて順を追って進める方が、チームがアイデアをゆっくり、より考えを深めながら熟成できるため、効果的なこともあります。

 セッション中、アイデア発想の休憩を何度か設けることも、より効果的であったりします。集中できる時間は人によって異なりますが、通常、頭脳を休ませることで、より多くの質の良いアイデアが生まれやすくなります。私たちは予定に追われ、ひたすら前に進み続けがちです。私たちの思想家たちには、もっと頻繁な休憩が必要かもしれませんよ。

 小さなグループでの作業も、目立つ大樹を少し抜いて、その陰に隠れていた引っ込み思案の草に陽が当たるようにすることができます。小さなグループごとに議論を促進するファシリテーターを任命し、全員からアイデアを得るようにさせると、内気なチーム・メンバーからの参加を増やすことができます。中には、大衆に考えを明かす前に自分自身の中で注意深く分析、再考、並べ替え、形成を行う内面指向型の人もいるため、アイデア発想のスピードと公開のスピードは同じではありません。コースから脱線しないように、頭脳の消化プロセスにたっぷりと時間を与えましょう。

 また、これは重要なことですが、アイデア発想段階ではアイデアに対する批評を許してはなりません。内向的な人に対して彼らのアイデアを「馬鹿げている」などと言おうものなら、彼らは永遠に口を閉ざしてしまうでしょう。これにて、彼らのアイデア・チケットはキャンセルです。彼ら(そしてこれを見ていた他の内向的な人たち全員)は議論から脱け、外向的な人に戦利品をあげてしまうからです。この最初の段階では、おかしなアイデアができるだけ多く欲しいのです。私の馬鹿げたアイデアが、あなたの素晴らしいアイデアのヒントになるかもしれません。でも、これを起こすきっかけが必要なのです。

 チームのブレーンストーミングをしっかりと計画し、その力をすべて集結できるようにしましょう。内向的な人や恥ずかしがり屋、臆病な人にイノベーションへの道を提供することで、彼らの力を解き放とうではありませんか。

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プロフィール

デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン 代表取締役  グレッグ・ストーリー博士<Br>(Dr. Greg Story)

デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン 代表取締役 グレッグ・ストーリー博士
(Dr. Greg Story)

デール・カーネギーに参画するまで、インターナショナルな環境での人材育成研修を数多く経験してきた。まずアジアにあるAustrade社ではリージョナルトレーニングプログラムを企画し、このプログラムを拠点で実施展開するための社内インストラクターの養成も行い、そのためのプログラムも開発した。具体的には、ベトナム、台湾、香港、中国、韓国、そして日本で実施展開を行った。また新生銀行では、ジェネラル・マネージャーとして、新生ビジネススクール(新生銀行の社内ユニバーシティ)創設に尽力し、特に銀行のリテール部門における、製品知識や、セールス、マネジメント、リーダーシップそしてカスタマーサービスの研修に関する社内インストラクターの育成を行った。

デール・カーネギーのトレーナーとしてはデール・カーネギー・コース、アドバンスト・デール・カーネギー、セールス・アドバンテージ、リーダーシップ・トレーニング・フォー・マネージャーズ、ハイ・インパクト・プレゼンテーションの認定を取得しており、今まで貿易、金融、IT、リテール、官公庁、製造、教育等の産業にトレーニングを提供してきた。

デール・カーネギー・トレーニングは、企業が必要とする6つの分野にフォーカスしたカリキュラムを提供しています。
・チームメンバーエンゲージメント
・リーダーシップ開発
・プレゼンテーション
・プロセス改善とイノベーション
・セールス
・カスタマーサービス

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