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デール・カーネギーが贈る成功の秘訣

第24回  チームにモチベーションを与える:求める結果を出す

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 イノベーション、目標達成、品質改善、コスト削減、実践のスピードアップ、顧客満足、これらのいずれを望むにせよ、最終的に結果を出すのはチームメンバーです。企業は姿かたちを持った社員によって判断されます。チームメンバーが無関心、無気力、上の空ではブランドにとって命とりです。こうしたチームメンバーが組織を代表して世間に顔を出すたびに、ブランド構築の取組みが水の泡になります。

 クライアントとの接点はすべて、当社のブランドが強化されるか影が薄くなるかの正念場です。これらの接点は感情に訴える人間的な要素を伴います。社員の会社への思いはすぐさま外の世界に伝わり、セーフティネットはありません。チームの会社に対する本音は? 直属の上司のことは? あなたのことはどう思っているでしょう?
 エンゲージメントに関して世界で実施した調査から驚愕の事実が判明しました。意外にも、直属の上司に対する高い満足感とエンゲージメント(会社への思い入れ)のレベルの間の相関が低いことが明らかになったのです。チームが私たちのために働くことに「非常に満足」していると聞いて喜び自信満々になると、「思い入れも強い」と思い込むおそれがあります。「非常に満足している」からといって、チームの「思い入れが強い」とは限らないのは衝撃でした。調査によると、「非常に満足している」と回答した人のうち、「思い入れがある」とした割合は51%にとどまりました。
 調査から、モチベーションを高めるには3つの要因があることが判明しました。

(1)直属の上司との関係
 人が会社を離れるのではなく、人から離れるのは明々白々です。リーダーにとってピープルスキルは本当に大切です。

(2)経営陣および経営陣が会社を導く方向性への信頼感
 平社員は上層部の経営能力を信頼していますか?  彼らは外国人の役員が日本という国や日本市場、顧客を理解して正しい決断を下していると思っていますか?

(3)最後の要因は組織に対する誇り
 チームは会社のことを家族や友人に自慢げに話しますか? 他の人に勧めますか、それとも愚痴をこぼしますか? 組織の価値観に同感していますか?

 3つの要因をうまく使えば、組織へのコミットメントは強まります。それを大きく左右するのは、組織に評価されているという感情でしょう。その感情が強ければ、スタッフのモチベーションは高まります。一生懸命働こうと奮い立ち、安全地帯から抜け出す自信が生まれ、革新する力にあふれ、市場で勝利することに情熱を傾けるはずです。
 ところで、自分は評価されていると感じるのはなぜでしょう? そう思わせるのは誰でしょうか? 接客の重要なポイントを突き止めるのと同じように、チームとリーダーシップとの接点を特定することが可能です。
 ハードスキルも重要ですが、チームの愛社精神に火をつけモチベーションを与えるにはソフトスキルが不可欠です。その成否を左右するのは、リーダーのコミュニケーション能力です。「ハードスキルで十分」という考え方は論外です。上層部は専門知識のおかげで昇進する場合が多いですが、それと同じスキルに頼っていてはチームメンバーの心を開くことはできません。ハードスキル頼みのリーダーは次から次へ指示を出し、ミスの対応は不適切で、責任を任せず、批判し、非難し、不平を言い、エンゲージメント調査では「採点し直してほしい」と泣き言をいいます。チームがモチベーションをなくすのも無理はありません。
 エンゲージメントを高めるヒントをお教えしましょう。

意図を明確にする
 人をモノのように扱うのはやめて信頼を築くことです。部下のキャリアを本当に気にかけていますか? エンゲージメントの調査から、社員は上司に気にかけてもらいたいと思っています。「行動は言葉よりも多くを語る」です。行動で示してください。

ほめて認める
 ほめないよりは「よくやった」と言った方がましですが、ほめ言葉としては弱すぎます。何が良かったのか、これが組織にどう影響を及ぼすかを具体的に伝えて、継続を目指してはっぱをかけます。

相手の関心を見抜いて話題にする
 人間は自分の興味に一致するかを判断したうえで、自分を奮い立たせます。自分と組織が求めることを長々しゃべる上司はコミュニケーション失格です。部下を理解し部下が求めることを理解していれば、関係性を大いに高めることができます。
 「ハードスキルで十分」というリーダーはこの点がわかっておらず、部下を理解せず気にかけてもいません。この結果、エンゲージメントもやる気もモチベーションも低下する悪循環に陥ります。ビジネスを差別化する特効薬になりえないことは明らかです。別の方法があります。
 気にかけ、功績を認め、相手のニーズをくみ取ることです。

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プロフィール

デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン 代表取締役  グレッグ・ストーリー博士<Br>(Dr. Greg Story)

デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン 代表取締役 グレッグ・ストーリー博士
(Dr. Greg Story)

デール・カーネギーに参画するまで、インターナショナルな環境での人材育成研修を数多く経験してきた。まずアジアにあるAustrade社ではリージョナルトレーニングプログラムを企画し、このプログラムを拠点で実施展開するための社内インストラクターの養成も行い、そのためのプログラムも開発した。具体的には、ベトナム、台湾、香港、中国、韓国、そして日本で実施展開を行った。また新生銀行では、ジェネラル・マネージャーとして、新生ビジネススクール(新生銀行の社内ユニバーシティ)創設に尽力し、特に銀行のリテール部門における、製品知識や、セールス、マネジメント、リーダーシップそしてカスタマーサービスの研修に関する社内インストラクターの育成を行った。

デール・カーネギーのトレーナーとしてはデール・カーネギー・コース、アドバンスト・デール・カーネギー、セールス・アドバンテージ、リーダーシップ・トレーニング・フォー・マネージャーズ、ハイ・インパクト・プレゼンテーションの認定を取得しており、今まで貿易、金融、IT、リテール、官公庁、製造、教育等の産業にトレーニングを提供してきた。

デール・カーネギー・トレーニングは、企業が必要とする6つの分野にフォーカスしたカリキュラムを提供しています。
・チームメンバーエンゲージメント
・リーダーシップ開発
・プレゼンテーション
・プロセス改善とイノベーション
・セールス
・カスタマーサービス

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