経営・ビジネスの課題解決メディア「経営プロ」

「タレマネ」の木と実と種と……

第2回  なぜタレントマネジメントが必要なのか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
なぜタレントマネジメントが必要なのか

なぜタレントマネジメントが必要なのか

 タレントマネジメントツールを導入すべきか。そもそもタレントマネジメントを行う必要があるのか。果たしてROI(投資効果)をきちんと得られるのか。

 ここ数年、タレントマネジメントが注目されつつある中で、私どもにも多くの企業のお客様からこんなお問い合わせをいただいています。多くのメディアでも「タレントマネジメントの必要性」が取り上げられ、日本でもその理解が少しずつ進んでいるようですが、私はむしろその風潮に強い危惧を感じています。
 なぜかと言えば、タレントマネジメントの必要性について論議されていること自体が、企業としてのマネジメントレベルの低さを物語っていると考えるからです。少々過激な言い方ですが、日本の企業が世界に向けて競争力を発揮していってほしいと願うからこそ、敢えて指摘したいと思います。
 結論から言うと、タレントマネジメントは会社組織をマネジメントしていくうえで「必然」のものです。なぜ必然なのか。それはタレントマネジメントこそが組織力を最大化し、ひいては企業の競争力向上に直結するものだからです。
 では、なぜタレントマネジメントが企業の組織力を最大化するのでしょうか。それはタレントマネジメントの本質にあります。
 タレントマネジメントと言えば、その名の通り、社員のタレント(能力)を有効活用できるようにマネジメントするものですが、経営の観点からすると、その最大の目的は社員個々の能力を引き出すことによって組織全体のパワーを「底上げ」することにあります。この底上げこそが、タレントマネジメントの本質です。
 ただし、社員個々の能力を引き出して組織全体のパワーを底上げするためには、企業として取り組まなければならない不可欠な要素があります。それは、社員個々の能力を引き出せるように、それぞれの業務において「ジョブディスクリプション(職務内容記述書)」や「ロールディスクリプション(役割内容記述書)」、およびそれらに適用する「コンピテンシー(能力・資格・適性)リスト」や「プロシージャ(処理手続き)」を整備することです。
 逆に言えば、これらがきちんと整備されていることが、タレントマネジメントの大前提となるのです。すでに世界のエクセレントカンパニーと呼ばれる企業は、こうした整備を行ったうえでタレントマネジメントツールをフル活用しています。
 果たして、皆さんの会社では、ジョブディスクリプションやロールディスクリプション、さらにコンピテンシーリストやプロシージャといったものをきちんと整備しておられるでしょうか。これは、タレントマネジメントがどうこうという以前の企業としてのマネジメントの基盤となるものです。
 実は、多くの日本の企業では、このあたりの基盤整備が行われていないのが実態ではないかと、私は危惧しています。タレントマネジメントはそうした基盤が整備されていないと、十分な効果を生み出すことができません。したがって、ROIを論議しても意味がないものとなります。
 こうしたマネジメントの基盤整備は、人事部門の仕事になります。日本の企業の人事部門で、ここまで取り組んでいるところはまだまだ少ないのではないでしょうか。さらに言えば、基盤整備は人事部門に任せきりにするのではなく、経営者が陣頭指揮を執って押し進めるべきものだと考えます。その上でタレントマネジメントを生かすということも、経営者自身に強いこだわりを持っていただきたいところです。
 なぜ、タレントマネジメントについて、経営者に強いこだわりを持っていただきたいか。それは前述したように、その最大の目的が社員個々の能力を引き出すことによって組織全体のパワーを底上げし、ひいては企業の競争力向上に直結するものになるからです。その意味を最も理解していただけるのは、ほかでもない経営者のはずです。
 タレントマネジメントを生かすためには、これまでお話ししてきたように、企業としてのマネジメントの基盤整備から始める必要があります。私どもはタレントマネジメントツールを提供していますが、お客様からご相談いただいた際には、まずそのことを認識していただくように努めています。ご要望があれば、基盤整備のご支援もいたします。
 改めて強調しておきたいのは、タレントマネジメントは会社組織のマネジメントそのものであるということです。このコラムが、まずはその本質を理解していただく一助になれば幸いです。

お気に入りに登録

プロフィール

サムトータル・システムズ株式会社<br>代表取締役社長 平野 正信 氏

サムトータル・システムズ株式会社
代表取締役社長 平野 正信 氏

IBMの開発エンジニア、日経マグロウヒル社(現日経BP社)記者、ハイペリオン日本法人代表、レッドハット・アジア担当VPなどを経て現在に至る。
記者としての人脈、ソフトウエア全般、会計、人事などのITソリューションなどの豊富な経験を生かし、業界のビジョナリーとして活躍。明快な説明に定評がある。

関連記事

会員登録 / ログイン

会員登録すると会員限定機能や各種特典がご利用いただけます。 新規会員登録

会員ログインの方はこちら